書評

2013年9月号掲載

時事ネタ学ぶなら、これを読め!

――西原理恵子・佐藤優『とりあたま帝国 右も左も大集合!編』

堀江貴文

対象書籍名:『とりあたま帝国 右も左も大集合!編』
対象著者:西原理恵子・佐藤優
対象書籍ISBN:978-4-10-137076-7

 連載が始まったときから、「奇跡のコラボが実現した!」と愛読していました。「週刊新潮」で一番楽しみにしているのがこの「とりあたまコンビ」の連載、といっても過言ではないぐらい。
 つい数日前も西原さんと一緒に飲んだばかりで、対談やイベントで一緒になったり、仲良くさせてもらっています。そもそも僕は西原漫画のファン。大学に入学してから麻雀にハマっていて、「近代麻雀」系の雑誌を熟読していました。そこに西原さんの「まあじゃんほうろうき」も載っていて。毎回自分が負けた話ばかりだから、「どれだけこの人は弱いんだろう?」って気になるわけです。後になって、実際卓を囲む機会があったのですが、本当に弱かった(笑)。
 言わば二十年来の西原ファンなのですが、そこからあれよあれよという間に売れっ子になりましたよね。実際にお会いしたのは四年前。西原さんの親友の作家・岩井志麻子さんのトークライブに僕がゲストで出演したときに、西原さんも同じくゲストとして来ていて、打ち上げでもご一緒しました。岩井さんの息子さんが童貞を喪失した話とか、二人が交わす下ネタトークは想像以上で、圧倒されたのを覚えています。
 佐藤優さんとも面識があります。五年前、鈴木宗男さんと三人で「なぜ我々は逮捕されたのか?」(「週刊プレイボーイ」2008年10月27日号)という座談会でお会いしたのが最初かな。二〇一一年の四月に僕の実刑が確定したときも、佐藤さんから「(収監されたら)人生修行と割り切って、日々を送るように」とエールを送られて励みになりました。今回出版される『とりあたま帝国』に、僕の出所がトピックとして取り上げられていますが、そこで佐藤さんに「堀江さんは“小菅ヒルズ族”の同志」と書いていただいて、素直に嬉しいですね。しかし佐藤さんは、小菅の東京拘置所に五百十二日もいて、僕は九十四日。その間、接見禁止で、新聞・雑誌も読めない。ギリギリの状態でした。そこに五百日以上いたわけですから脱帽です。並の精神力の持ち主じゃないですよ。
『とりあたま帝国』に収録されるトピックは、二〇一二年の一月から今年の五月まで、僕が仮釈放となったのが今年の三月末ですから、ほぼ収監されていた時期と重なりますね。「生活保護不正受給」「牛生レバー禁止」など、刑務所で触れたニュースもたくさんあって、ちょっと懐かしい(笑)。僕が収監されたのは、二〇一一年六月二十日。同月末には長野刑務所に移送されて、ようやくテレビが見られるようになりました。そこでは必ず大相撲の生中継が流れるのですが、忘れもしないその年の秋場所、国技館の砂かぶり席に西原さんがドーンと座っている姿が映って、「あ、西原さんだ!」と、塀の中での予期せぬ“再会”に思わず嬉しくなりました。
 収監前には「送別麻雀大会」を開いてくれたり、二〇一二年には長野刑務所までわざわざ面会に来てくれたり、西原さんには本当に感謝しています。その面会の様子は、漫画に描いてもらっているのでぜひご覧になってください。
『とりあたま帝国』は、基本的には時事ネタを扱っていて、西原さんは漫画、佐藤さんがコラム担当。西原さんは本当に好き勝手自由に描いているけど、それができるのも佐藤さんがいるからでしょう。二人の役割分担がきっちりできているから面白いし、タメになる。とにかく佐藤さんの文章には感心します。短くてキレがあって読み易い。僕は今の週刊誌や月刊誌のスタイルに不満があって、それは記事が長過ぎること。本当に伝えたいことが載っているのではなくて、分量が先に決まっていてそれを埋めるだけの文章が多いように思ってしまう。その意味でも佐藤さんの文章は、たまたま今の時代に合っているんじゃないかな。長い文章は誰でも書けるけど、短い文章にはスキルが要る。「短いことは良いこと」です。その意味で、この「とりあたまシリーズ」は非常に雑誌的でもあり、ネット的でもあると思います。
 池上彰さんもいいですが、この「とりあたまシリーズ」も、時事ネタを勉強するのに簡潔にまとまっていて、かつ面白い。僕から「お題」を出すとしたら……、どうせならIT系のディープなテーマがいいかな。「ビットコイン」なんてどうでしょう? これからかなり注目なんですが、お二人はどう料理しますかね。その分野が苦手の西原さんが「なんじゃそれ、食えるのか!」と苦悶する姿が目に浮かびます(笑)。(談)

 (ほりえ・たかふみ SNS株式会社オーナー)

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