TOP > 波 -E magazine Nami- > 書評・エッセイ

波

書評・エッセイ

ハッコウハレイゾウコニオマカセコドモトツクレルジュウニカゲツノパン発酵は冷蔵庫におまかせ! 子どもと作れる12か月のパン

吉永麻衣子

1,760円(税込)

作って楽しい、食べておいしい「季節のパン」!

生地をこねるのはちょっと、冷蔵庫で寝かせるだけ。オーブントースターで焼けるから、子どもにも初心者にもピッタリ。1月の「十二支パン」から、3月の「おひなさまパン」、5月の「こいのぼりパン」、9月の「お月見パン」、12月の「クリスマスパン」まで、月ごとに季節の行事や旬の素材を盛りこんだ簡単レシピが満載。 ※当電子版は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。ご了承ください。

心を育むパンの力

――吉永麻衣子『発酵は冷蔵庫におまかせ! 子どもと作れる12か月のパン』

安田美沙子

 パンって何であんなに美味しいんだろう?

 お店を見付けると必ず入って、自分の中のお気に入りを選んで、幸せな気持ちでおうちに帰る。
 手作りだとなおさら、みんなに喜んで貰える気がします。
 自分のために、家族のために、友人のために、ちょっとしたプレゼントなのかもしれません。

 私は京都に住んでいる頃から、おいしいパンがない生活は考えられませんでした。京都は、パンの消費量が全国の中でも多く、物心ついた時には私の母も良くパンを焼いてくれていました。
 夜中であろうと、パンの焼きあがるあの香ばしい香りが家に充満してくると、焼きたてがどうしても食べたい! とベッドから抜け出して来て熱々の食パンを食べていました。朝ごはん用に母が焼いてくれていたのに......。
 焼きたての耳の部分が実は大好物(笑)。全部食べないでよ! と弟と怒られていました。
 今は母のレシピを貰って、我が家の味にしています。

 そしていつしか息子も「パン! パン!」と泣き叫ぶほどパンが好きになっていたようです。
 バレンタインには、あるキャラクターの顔のパンを作りました。
 まだチョコレートは食べられないし、今一番好きなものと言えば、パンしかない。
 夜中に、試行錯誤、苦労しながら作りましたが、息子のあの「わぁーっ!」という反応を見ると全てが報われました。
 その不器用な見た目のキャラクターのパンを、宝物のように大切に握りしめて、ゆっくり、ゆっくり食べてくれていました。それはもう、愛おしくてたまりませんでした。
 食べて美味しいのは勿論ですが、色んなものに形を変えられて、想像力が膨らむのもまた、パンの魅力だなぁと感じる日々です。

 私は食育を学んでいますが、パンには食育の要素がギュッと詰まっています。
 まず、粉から生地が出来ていく過程です。
 子どもに混ぜてもらうことも出来るし、素材のありがたみを知ることが出来ます。
 シンプルな素材だからこそ、産地や種類にこだわるなど、バリエーションも無限の可能性を秘めています。

 素手で成形だって出来る。指で生地を触って感覚を確かめる。それはどれだけ子どもの脳に刺激が行くのだろう、想像力が膨らむのだろう......。私は、汚れたっていいから思う存分お手伝いして欲しいと思っています。何よりあんな気持ちがいい生地は触らずにいられません。
 さらに発酵させて、焼きあがる喜びと言ったら。五感を刺激され、全てが満たされます。
 それを家族と共有すること、食卓を囲んで食べることが、健康的な心を育むことだと思います。

 この本には一年を通したパンのレシピが載っています。季節を感じ、男の子も女の子も喜んでくれるもの、そして一緒に作れる簡単なもの......。
 ママが作ってもいいけれど、息子と一緒にカブトムシや、鯉のぼり、作りたいです。
 きっと、息子以上に私が感動してしまいそうです(笑)。

「かわいいね、美味しいね!」。笑顔でパンを囲む時間が私は何よりも大好きです。
 この一冊が、沢山の家族の毎日を幸せにしてくれますように......。

 (やすだ・みさこ タレント・女優)

吉永麻衣子『発酵は冷蔵庫におまかせ! 子どもと作れる12か月のパン』978-4-10-339414-3