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書評・エッセイ

神々の住まいへ誘う最新ガイド

芸術新潮編集部編『神々が見える 神社100選』

高山れおな

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 本書は、芸術新潮の創刊800号記念特大号「神の空間を旅する 神社100選」を再編集したものである。芸術新潮ではかつて、555号の記念に「日本の神々」と題する大特集を組んだことがある。そこでは神像と神饌をグラフの柱とし、さらに"どのような時に「神」を感じますか?"という問いに答える形で各界52氏からエッセイをいただいた。狭義の神というより神的なものが特集テーマだったから、各氏のエッセイにはじつにさまざまな神様が登場する。夜の首都高から見る石油精製プラントに神を感じる評論家もいれば、自分こそが神だと宣言する美術家もいた。
 それから20年を経た今回のコンセプトはいわば"新・日本の神々"。ただし、前回からは一転、ひたすら神社にフィーチャーしている。日本人における神観念の可能性の幅を探ろうとしたのが前回特集なら、今回は伝統的標準的な神観念を護持してきた制度の、特にハード面のカタログを作ろうと考えたのである。ハードとは要するに境内と社殿のことで、神社ガイドの類はたくさんあるようでも、じつは社殿建築についてまともに紹介している本はごく少ないのが実状だ。
 いちばん頭を悩ませたのは、100の神社の選択だった。"いつかは行ってみたい神社"という基準のもと、以下のような8つの項目を設けて出し入れを繰り返した。
 第1章「神社の誕生」に登場するのは、古代の神社システムの中枢に位置し、かつ現代まで連綿と祭祀が続く大社の中の大社――伊勢・出雲・春日・宇佐など神社界のボスキャラ12社。
 第2章「神話の神さまとその現場」は、諏訪・熱田のような著名な大社から、ニギハヤヒを祭る磐船神社のように小さくも個性的なお社まで15社。
 第3章「神社名建築紀行」は、すでに述べた次第で、とりわけ力をこめた章。嚴島・吉備津を筆頭に、美しき15社を紹介する。
 第4章「神と仏の千年史」は、神仏習合がテーマ。金刀比羅宮や談山神社のように、境内にはっきりとその痕跡が残る神社など17社を取り上げた。
 第5章「人、神となる」は、人を祭神とする10社。菅原道真を祭る北野・太宰府の両天満宮から、日光東照宮、明治神宮まで。
 第6章「山は神さま」では、標高1000メートル超え限定で、山をご神体とする10社を紹介。
 第7章「国宝あります」の8社は比較的小さな神社が多い。こんな鄙びたお社にこんなすごいものが、という観点で選んだためだ。
 第8章「諸国一の宮めぐり」は、一の宮のうちこれまでの章に登場していない有力13社。
 ほぼ全社を編集部の誰かしらが訪ねているので、どれも素晴らしい神社であることは請け合える。が、白状すると隠岐国一宮の水若酢神社だけは誰も行っておらず、中野晴生氏の写真と資料だけで記事を書いた。しかし、見れば見る程、読めば読む程、いつかは行ってみたいという気持ちを掻き立てられたので、辻褄は合っているわけである。

 (たかやま・れおな 芸術新潮副編集長)

芸術新潮編集部『神々が見える 神社100選』978-4-10-345503-5