TOP > 波 -E magazine Nami- > 書評・エッセイ

波

書評・エッセイ

刊行秘話とデザイン画発掘!

萩尾望都『新装版 斎王夢語』

担当編集者

img_201908_24_1.jpg

 本作は1994年に刊行された戯曲の復刊である。今年で画業50周年を迎える萩尾氏の輝かしいキャリアの中でも戯曲はかなり珍しいが、新潮社から出版するにあたってはある人物の紹介があった。
 それは、今もカリスマ的な人気を誇る、故・氷室冴子氏がきっかけだったという。二人に親交があったことは広く知られているが、新潮社から『いもうと物語』を出版したばかりだった氷室氏が、「あなたも出してもらったら」と担当者に萩尾氏を紹介し、刊行に繋がったのだそうだ。そんな話を聞いてしまうと、それだけで興味が湧くファンも多いのではないだろうか。
『斎王夢語』は伊勢の遺跡を訪れた学者が、かつてその地で生きた、神の花嫁・斎王の姿を幻視することから始まる幻想的な戯曲だ。斎王の祖となった倭姫(やまとひめ)から、周囲にあらぬ疑いをかけられて悩む稚足姫(わかたらしひめ)、最愛の弟が政変に巻き込まれてしまう大伯皇女(おおくのひめみこ)......と様々な時代の乙女たちとそれを見守るアマテラスの姿を描く。
 萩尾氏らしい流麗な筆致で描き出される古代ロマン溢れる物語は勿論見逃せないが、復刊にあたっての特別附録として、巻末には創作メモ、直筆原稿と併せ、「伊勢まほろば語」衣装デザイン画を収録した。
「伊勢まほろば語」は萩尾氏が友人から依頼され、バレエ公演の原作、脚本を担当した作品で、本作と執筆時期も近く、また時代設定や登場人物も一部重なることから、アナザーストーリーとも呼べる存在であった。
 萩尾氏が手掛けた衣装デザイン画は初公開となるが、ページに限りがあり、残念ながら収録を見送ったものも多い。この機会に、その中から選りすぐりの3枚を掲載する。

img_201908_24_2.jpg

img_201908_24_4.jpg   img_201908_24_3.jpg

萩尾望都『新装版 斎王夢語』978-4-10-399603-3