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書評・エッセイ

ノノハルルテンノウミ09野の春―流転の海 第九部―

宮本輝

1,814円(税込)

執筆37年、シリーズ累計230万部の大作「流転の海」、第九部でついに完結。

自らの父をモデルにした松坂熊吾の波瀾の人生を、戦後日本を背景に描く自伝的大河小説「流転の海」。昭和四十二年、熊吾が五十歳で授かった息子・伸仁は二十歳の誕生日を迎える。しかし熊吾の人生の最期には、何が待ち受けていたのか。妻の房江は、伸仁はどう生きていくのか。幸せとは、宿命とは何だろうか――。感動の最終幕へ。

「流転の海」完結記念

「流転の海」と私

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いつか息子たちにも読んでもらいたい。

竹増貞信

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『流転の海』を読むたび、「宿命」というものの重さ、凄まじさ、それをコントロールする「理性」の儚さのことを、くり返し考えます。また熊吾の「自分の自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん」という言葉は、仕事に誇りとプライドを持ちながらも、それをいつでもかなぐり捨てる覚悟はあるか、と自ら問うものとなりました。『流転の海』には人生を切り開く上で大切なことが書かれています。いつか息子たちにも読んでもらいたい本です。

 (たけます・さだのぶ 株式会社ローソン 代表取締役社長)

宇宙で光を放つ星座に導かれて。

小川洋子

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 全人生をかけて息子を愛し抜く情の深さと、闘牛を撃ち殺す荒々しさ。熊吾の中でその両方は矛盾なくつながり合い、一つの宇宙を成している。闇は濃く、底知れないが、同時に、すべてを抱き留める度量を持っている。彼に引き寄せられた人々の放つ光が、壮大な星座となる。その星座をたどっているうちやがて、時間も生死も超越した宇宙の摂理に導かれている自分に気づく。何と深遠な小説だろう。

 (おがわ・ようこ 作家)

人として父として、かくありたい。

中村義洋

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 視点の切替、伏線の置き方、邂逅の必然、妬みの怖さ、父とは母とは......物語の在り方はすべて『流転の海』から学んできたように思います。
 二十代で読み始めて二十数年。間もなく自分は第一巻の熊吾の年齢に達します。それに近づくにつれ熊吾の気持ちが痛切に沁み入り始めた頃、第六巻のタイトルに「慈雨」の文字。これだけで泣いてしまいました。人として父として、かくありたいです。

 (なかむら・よしひろ 映画監督)

愛とは何か、考えさせてくれる小説。

壇蜜

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『流転の海』に出会って以来、この大きな物語の深い海に浸っています。圧倒的に強い父の熊吾、繊細で気丈な母・房江、愛情を注がれて育つ賢い伸仁の三人からは、何が起きても決して絆を失わない家族の深い愛を教えてもらいました。特に、熊吾の破天荒さに翻弄されながらも、しっかりと自分を保つ房江にとても刺激を受けました。
 私にとって幸福とは何か、何のために生まれたのか、などを考えさせてくれる大切な本です。

 (だん・みつ タレント)

ここには私たちの人生のすべてがある。

北上次郎

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『流転の海 第二部 地の星』が上梓されたとき、未読の第一部を取り出して読んだとき興奮は忘れない。それまでもこの作家の全作品を読むほどの愛読者であったが、いま読んでいるものは、この作家のベストであるだけでなく、おそらく永遠に残り続ける作品だろうと深い確信を抱いた。
 父と子がいて、男と女がいる。経済があり、政治があり、社会がある。ここには私たちの人生のすべてがある。

 (きたがみ・じろう 文芸評論家)

宮本輝『野の春―流転の海 第九部―』978-4-10-332519-2