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書評・エッセイ

とりあたま炎上

忖度無用のチキンレース!編

西原理恵子/佐藤優

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ハリウッド「セクハラ告発」ラッシュ

(「週刊新潮」二〇一七年十二月七日号掲載)

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(二〇一七年・編集部注)十月初旬からハリウッドが大嵐に見舞われている。プロデューサーとして国際的に著名なハーベイ・ワインスタイン氏が二十年以上にもわたって若い女優や自社の社員らにセクハラをしてきたことを「ニューヨーク・タイムズ」が暴露した。この記事をきっかけに他のメディアでも、同氏のセクハラの詳細な様子が、被害女優が隠し録っていた音源などで明らかにされ、アンジェリーナ・ジョリーなど複数の女優が、被害者として名乗り出る事態になった。それが他の映画関係者に飛び火し、ウディ・アレンやロマン・ポランスキーなどのセクハラも暴露された。
 この事件は、電通の過労死事件、横綱日馬富士の暴行疑惑などと似ている。ハリウッド、体育会系企業、相撲界には、社会一般とは異なる特別のローカルルールが存在した。映画界や芸能界でのセクハラ、体育会系企業での長時間労働や暴言、相撲部屋での鉄拳制裁などは、褒められたことではないが、特別な環境だからあっても仕方ないと何となく受け止められていた。それが通用しなくなったのは、グローバルな資本主義化の過程で、特殊な小宇宙が認められなくなり、フラットなルールが浸透してきたからだ。しかし、完全にフラット化してしまうと、映画なら映画という文化の基盤が崩れてしまう。映画界や芸能界でセクハラが完全に解消されることはないので、今後、ハリウッドではより巧妙な形でセクハラが行われるようになると思う。  (文・佐藤優)

【編集部記】
 本稿は、八月三十一日発売の西原理恵子・佐藤優『とりあたま炎上 忖度無用のチキンレース!編』の採録。同書は、「週刊新潮」二〇一六年十月二十七日号〜二〇一八年五月二十四日号掲載「週刊鳥頭ニュース」の単行本シリーズ第六弾。セクハラ告発や財務省スキャンダルといった「炎上案件」から、トランプ大統領就任、金正男暗殺といった世界を揺るがせたニュースまで、最強コンビがマンガとコラムで話題のニュースを解説している。

 (さいばら・りえこ マンガ家)
 (さとう・まさる 作家)

西原理恵子/佐藤優『とりあたま炎上 忖度無用のチキンレース!編』978-4-10-301939-8