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書評・エッセイ

サザンオールスターズ19781985シンチョウシンショサザンオールスターズ 1978-1985(新潮新書)

スージー鈴木

864円(税込)

日本の音楽を変えた、あのメロディ――。《勝手にシンドバッド》《いとしのエリー》《C調言葉に御用心》《メロディ(Melody)》。初期の名曲を徹底分析、胸さわぎの音楽評論!

あの曲のあのメロディの何が凄いのか? 《勝手にシンドバッド》《いとしのエリー》《C調言葉に御用心》など、1978~1985年の“初期”に発表した名曲を徹底分析。聴いたこともない言葉を、聴いたこともない音楽に乗せて歌った20代の若者たちは、いかにして国民的バンドとなったのか? 栄光と混乱の軌跡をたどり、その理由に迫る。ポップ・ミュージックに革命を起こしたサザンの魅力に切れ込む、胸さわぎの音楽評論!

サザンを正しく語りたい

スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』

スージー鈴木

「夏、海、青春、サザンオールスターズ!」――なぜサザンは、そんな手垢にまみれた文脈でしか語られないんだろう?
 そんな疑問がまずあって、だからこそサザン、とりわけ初期サザンによる音楽的功績の広さ・深さ・奥行きを、きっちりと測定する本を出したい、そして、初期サザンを批評的に語る気運を盛り上げたい――という思いで書いたのが、この本=『サザンオールスターズ 1978-1985』です。
 タイトルにもあるように、ここで言う「初期サザン」とは、78年から85年の8年間を指します。78年=傑作シングル《勝手にシンドバッド》で鮮烈なデビューをしてから、85年=こちらも傑作シングルの《メロディ(Melody)》を発表し活動休止するまでの、怒濤の8年間。サザンと20代の桑田佳祐が、何を考え、何に迷い、何をしでかしたのかを克明に追った、一種の評伝となっています。
 1年で1章、8年で8章、プラス終章でトータル9章。そして、初期のアルバム8枚(『熱い胸さわぎ』〜『KAMAKURA』)については、全収録曲の批評(5つ星採点付)も載せています。
 さて、この本を書き進めるときに、ある「仮想敵」を、ずっと頭の中に置いていました。それは――「はっぴいえんど中心史観」です。
 実は、日本ロック史に関する本の多くが、この「史観」の下に書かれています。ざっくり言えば「日本のロックの全ては、はっぴいえんどから始まり、そして、はっぴいえんどが完成させた」とでもいったような、ずいぶんと乱暴な歴史観です。
 細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂。70年にデビューし、傑作アルバム『風街ろまん』を遺し、そして73年にさっさと解散した伝説のロックバンド。その知的で陰鬱な感じのサウンドが、さらに伝説性を高め、結果「はっぴいえんど中心史観」が、日に日に広まっているように感じます。
 違うだろう、と。少なくとも、日本のロックをぐんぐん推進させ、ビジネスとして完成させたのは、初期サザンじゃないか。そして、はっぴいえんど以前の、例えばザ・スパイダースの功績も認めなければいけないだろう――そんな考えが、この本の中心的な視座となっています。
 最後に自己紹介になりますが、私は66年生まれ、今年51歳になる音楽評論家です。ということは、桑田佳祐のちょうど10歳下。20代の桑田が走り抜けた、初期サザンの怒濤の8年間、私は10代でした。多感な思春期に、20代の桑田による、天才的な作品を浴び続けたことの幸せを噛み締めながら、この本を書きました。
 そんな幸福感を、読者の方々と共有したいと思います。桑田の曲=『Kissin' Christmas』風に言えば、「人生の想い出にすべてサザンがいる」――そんな方々に読んでいただきたい一冊です。

 (すーじーすずき 音楽評論家)

スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』978-4-10-610724-5